セスナ172P型の技術情報

AIR WORK(空中操作)

低速によるパターン飛行(フラップ使用、フラップ不使用の2種類)

低速でパターン飛行をします。次の2種類を行います。
  フラップ  0度 速度 55ノット
  フラップ 30度 速度 50ノット

(訓練の概略イメージ)

  フラップ0度    フラップ30度
   概略図       概略図
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ギリギリの低速で飛行しているので、指定速度を切らないように注意する事が必要です。

デパーチャー・ストール

離陸上昇中に、過度の操作などが原因で失速状態になった場合の、失速回復操作です。
この訓練は飛行機の失速特性を理解させて操縦能力を向上させるため、基礎訓練の段階で最も頻繁に行われる科目のひとつです。
練習空域の安全な高度で、機体を完全な失速状態にしたあと回復操作をします。
この訓練中は、左右の主翼を水平に維持することが必要で、失速速度に近くなると操縦系統の反応が鈍くなってくるので、特に注意が必要です。

(訓練の概略イメージ)
エンジン2200RPMで毎分500フィートの上昇率を維持するよう操縦桿をどんどん引いていきます。次第に上昇率が鈍り、最後には失速警報機が鳴り失速状態に入ります。直ちに水平姿勢よりやや下向きに機首を下げ、フルパワーにして回復操作をします。
教官が同乗しているので、安全面では全く問題ありません。

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アプローチ・ターニング・ストール

着陸のため、ベースレグからファイナルターンを行ってファイナルアプローチに進入する際に、過度の操作などが原因で失速状態になった場合の、失速回復操作です。
この訓練は飛行機の失速特性を理解させて操縦能力を向上させるため、基礎訓練の段階で最も頻繁に行われる科目のひとつです。
ファイナルターンにおける失速は通常、オーバーシュートして機軸を滑走路に一致させるため、無理な旋回を行う場合に発生しやすい。 (オーバーシュート=旋回操作が遅れて、軌跡が外側にずれること。)
練習空域の安全な高度で、機体を失速警報器作動状態にまでしたあと回復操作をします。

(訓練の概略イメージ)
(    0フィート)フラップ20度、70ノット、降下率毎分500フィートの態勢を作り直線で100フィート降下する。
(−100フィート)バンク15度で旋回を開始。
(−170フィート)機首上げ(昇降計=0)で失速操作開始。−200フィートで失速警報器作動状態になるように操作する。
(警報器作動時)機首下げ、フルパワーで回復操作をします。開始高度まで上昇しレベルオフして終了。

旋回中の失速操作のため、他の失速操作訓練よりも特に注意が必要です。
教官が同乗しているので、安全面では全く問題ありません。

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ランディング・ストール

ファイナルターン終了後、滑走路に接近した時点で、過度の操作などが原因で失速状態になった場合の、失速回復操作です。
この訓練は飛行機の失速特性を理解させて操縦能力を向上させるため、基礎訓練の段階で最も頻繁に行われる科目のひとつです。
着陸するための返し操作(フレア操作)中に起こると予想される失速について理解させるために行います。
練習空域の安全な高度で、機体を完全な失速状態にしたあと回復操作をします。
回復操作のポイントは、いかに小さな高度の損失で安全に失速から回復するかと云う点にあり、着陸復行の操作要領で回復操作を行います。

(訓練の概略イメージ)
(    0フィート)フラップ20度、70ノット、1500rpm、降下率毎分500フィートの態勢を作り100フィート降下する。
(−100フィート)フラップ30度、65ノット
(−250フィート)アイドル回転、引き起こし(昇降計=0)で失速操作開始。−300フィートで完全失速状態になるように操作する。
(完全失速状態)機首下げ、フルパワー、フラップ20度で回復操作。55ノット以上になったら、着陸復行と同じ操作要領で上昇し、開始高度でレベルオフして終了。
教官が同乗しているので、安全面では全く問題ありません。

  

   
  
   
  

  ストール関係の説明は、財団法人航空振興財団の「飛行機操縦教本」を参考にしました。