セスナ172P型の技術情報

BIF(基本計器飛行)

パターン飛行 (BIF基本計器飛行)

フード(目隠し。計器類は見えるが機外は見えない)をかぶり、計器類のみを使用してパターン飛行をします。
一見簡単そうに見えますが、計器だけを使用して直線飛行・旋回・上昇・降下を決められたパターンで正確に行うのには訓練が必要です。
機外が見えないことで、逆にふだん機外が見えているときの人間の目が、素晴らしい仕事をしているのを実感します。
 パターン飛行の概略図
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高度計、対気速度計、定針儀、昇降計、旋回傾斜計、姿勢制御器を総動員して操縦します。
水平飛行、降下、上昇でそれぞれパワーを操作しますので、対気速度・昇降率の調整も大事です。

VOR(無線標識)を使った航法

フード(目隠し。計器類は見えるが機外は見えない)をかぶり、計器類のみを使用して行います。
VOR無線標識を受信して、自機の位置(VORとの相対位置)を把握し、指示された地点に機体を誘導します。
VORは360度全方位に電波を発射し、方位毎に電波の成分を少しずつ変えていますので、機上のVOR受信機でこの電波を受信するだけで、自機がVORのどの方位にいるかが判ります。
この操作中も、高度、速度ならびに機体姿勢の維持を、計器類のみを使用して並行して行わなければなりません。

(訓練の概略イメージ)
(例)
.VORの240度方向に発射されている電波(コース)に乗って、VOR局に向かうか、VOR局の反対方向に向かうかを指示されます。
.訓練生は機上のVORを操作して、自機が方位240度コースの左右どちら側にいるかを判断して、240度コースに直角になるように機首を向けます。(90度カットインターセプト方式の場合)
.240度コースの左右10度以内に入ると、VORの針(CDI)が中央に動き始めるので、CDIがちょうど中央に来た時点で240度コースに機体が乗っているように操縦します。
.VORに近いとCDIが早く動き、遠いとゆっくり動きますので、それを判断して的確に操縦します。

   VOR計器    インターセプト方法
      

操縦しながらの操作になるので、TO−FROM指示器の未確認・誤認、90°カット方位の計算間違い、TO-FROMの方向の間違いなどに十分注意することが必要です。

NDB、ADF(無線標識)を使った航法

フード(目隠し。計器類は見えるが機外は見えない)をかぶり、計器類のみを使用して行います。
NDB(地上ビーコン局)の電波を受信して、自機の位置(NDBとの相対位置)を把握し、指示された地点に機体を誘導します。
ADFは航空機上に指向性のあるループ・アンテナと無指向性の普通のアンテナとを組み合わせて搭載し、電波の到来方向、すなわちNDB(地上ビーコン局)の位置(方位)を知る航法装置です。
      ADF 自動方向探知機       (機首の方向に関係なく、指針は常にNDB局の方を指す)
      NDB 無指向性ラジオ・ビーコン (一般の中波放送局も利用できる)
この操作中も、高度、速度ならびに機体姿勢の維持を、計器類のみを使用して並行して行わなければなりません。

(訓練の概略イメージ)
(例 インバンド)
.NDB局に対して60度のコースに乗って、NDB局に向かう(インバンド)よう指示されます。
.機首を60度に向けます。(以後の判断がし易い。省略可)
.ADFのつまみで、方位ゲージを60度にセットします。
.ADFの指針から方位60度コースの左右どちら側にいるかを判断して、60度コースに直角になるように機首を向けます。(90度カットインターセプト方式の場合)
.ADFの指針が水平になった時点で60度コースに乗ったことになるので、少し手前から機首を60度に向けていき、指針が垂直になった時点で定針儀(実際の方位)が60度を指すようにします。

    ADF計器    インターセプト方法
    

操縦しながらの操作になるので、90°カット方位の計算間違い、インバンド・アウトバンドの方向の間違いなどに十分注意することが必要です。