これは便利だ、電波の灯台

旅客機が飛ぶ航空路は、どのように決められているのでしょうか。
旅客機は目的地の飛行場目指して、最短距離(直線)で飛んでいるわけではありません。
実は、航空路は全国に設置された電波の灯台(VOR,NDB)を基準に決められています。
原則的には下図のように、VORから次のVORへと飛んでいきます。
但し、航空路の途中から別のVORに向けて分岐するような航空路もあります。

旅客機は出発時点で経由航空路が指定され、さらに全航程をレーダーで監視されています。
また、雲を避けるために針路を変更する場合でも、管制官の許可が必要です。
(但し、事態が急迫している場合は、事後報告)

小型機も、VORやADF(NDBの受信装置)を搭載しています。搭載装置や台数は機体によりまちまち
です。


小型機の場合も有効に活用して飛行しますが、あくまでも航法の補助として使用します。
2箇所のVORからの方位を区分航空図に直線で記入すると、直線の交点が地図上の自機の位置です。
計器航法(一時的に計器のみに依存して飛行。30分又は110km以内)を行っている場合は、自機の
位置を知るための唯一の装置になります。
ただし、通常のVFR飛行では、VORやADFのみに依存して飛んではいけません。


(RNAV航法について)
RNAV (広域航法)は、航空保安無線施設や自蔵航法機器を利用して自機の位置を算出し、任意の
経路を飛行する航法です。
RNAV経路は、無線施設の覆域内において任意の地点をほぼ直線で結ぶ構造となっていますので、
目的空港への直行が可能で、従来のVORによる航法支援を必要としません
RNAV経路の設定により、幹線経路の混雑緩和、複線化を図ることが可能になるとされています。

(VORの縮退計画について)
旅客機にこのRNAV航法が導入され始めた結果、平成23年度から一部のVORが廃止される
ことに なりました

すべてのNDBが、平成26年度までに廃止されるとされています。
VORに関する平成24年度から平成27年度までの縮退計画は、運航者の意見も踏まえつつ策定
される予定です。


VOR (VHF ominidirectional radio range)
超短波全方向式無線標識施設
    VHF帯のうち108〜117.975MHzの電波を使用しVOR局を中心に360度すべての方位に
    飛行コースを与える航空保安無線施設。通常DMEと併設される。

    VORは360度全方位に電波を発射していますが、方位毎に電波の成分を少しずつ変えていま
    すので、機上のVOR受信機でこの電波を受信するだけで、自機がVORのどの方位にいるかが
    判ります。


DME (distance measuring equipment)
距離測定装置
    航空機から質問電波を発射し、それに反応して地上局から応答電波が発射される。航空機側は
    質問電波の発射から応答電波の受信までの経過時間で距離を測定する。


NDB (non-directional beacon)
無指向性無線標識施設
    NDBは計器飛行方式の経路上に設置され無指向性の長・中波(190〜415KHz)で、2文字の
    識別符号とともに機上のADF(自動方位測定装置)で受信することにより機軸からNDBの方位を
    知ることができる。

    NDBは、性能的にVORより劣るため、現在はVORが主力になっています。

ADF(automatic direction finder)
自動方向測定装置
    航空機上に、指向性のあるループ・アンテナと無指向性の普通のアンテナとを組み合わせて
    搭載し、電波の到来方向、すなわち地上ビーコン局(NDB局)の位置を知る航法装置。


     各装置の説明は、鳳文書林出版販売(株)の航空用語辞典を参考にしました。