セスナ172P型の技術情報

TRAFFIC & LANDING

(トラフィックパターン飛行 と 着陸)

短距離着陸

滑走路手前の障害物のため、通常のパス角3度では進入できない場合を想定して、大きなパス角で降下します。
安定した姿勢で大きな降下率を得るため、フラップを一杯に降ろし、速度も60ノットまで落とします。

(訓練の概略イメージ)
最終旋回(ファイナルターン)を通常高度+100フィートで行います。
フラップを最大(30度)にし、対気速度を60ノットに調節して、パス角5度を狙います。(通常はパス角3度)
高度が200フィートに達したら、パワーを入れて定点着陸を狙います。

  
スリップ操作着陸(フォーワード・スリップ・ランディング)

操縦桿とラダー操作が同調していると、操縦桿を右に切ると右側の主翼が下がり機体は右に旋回していきます。主翼が水平状態から傾くと、揚力も減って高度も下がっていきます。
スリップ操作では、これに反対側の左のラダーを踏む操作を加えて、機体を傾けたまま機体を直進させ、急激に高度を低下させます。

(訓練の概略イメージ)
最終旋回(ファイナルターン)を通常高度+200フィートで行います。
風があるときは、風上側に機体を傾けます。
降下率を上げるためエンジンはアイドル回転とし、フラップは20度まで下げます。
舵を切ったまま操縦桿を一杯に押し込み、反対側のラダーを一杯に踏み込みこんだ状態を保ち、絶対に対気速度が70ノットを切らないようにします。この状態で舵を調節して直進性を保ちます。
高度200フィートに到達または3度のパス角に乗ったら、スリップ操作を止め通常の着陸操作に移ります。  

(参考)
操縦桿を一杯に押し込んだ状態に加えて、反対側のラダーを一杯に踏み込む作業は結構な力仕事で、着陸までの時間が長く感じられます。
機体を強制的に不安定な状態にしているため、最大限の注意が必要です。

  

ノーフラップ着陸

フラップの故障を想定して、フラップを使用しないで着陸します。
機体の空気抵抗が少ないため、エンジンの調整だけでは迅速に速度が下がらず、フラップ使用時と較べてベースレグやファイナルコースで規定の速度に調節するのに苦労します。
滑走路に入っても、通常より5ノット速度が多いのと機体の空気抵抗が少ないせいで、通常より着地点が延びます。

(訓練の概略イメージ)
ベースレグは80ノットを維持。
最終旋回(ファイナルターン)を通常高度で行います。
滑走路端近くまで70ノットを維持します。
滑走路進入速度を65ノットに調整します。

  

ゴー・アラウンド(着陸復行)

着陸進入中の航空機が着陸を断念して、再度上昇して着陸をやり直すことをいいます。
着陸進入態勢に入っているため、揚力に余裕がなく機体の速度も低い状態から行いますので、的確な操作が必要です。実地試験のときは、着陸進入中に突然試験官から「ゴー・アラウンド」の指示が出ます。

(訓練の概略イメージ)
フルパワーにして、上昇姿勢をとります。
キャブヒートをコールド側にセットします。
高度50フィートに達したら、フラップを20度まで上げます。
対気速度55ノットで上昇します。
高度200フィートに達したらフラップを格納します。
対気速度75ノットで上昇します。

  

通常着陸

フラップを使用した通常の着陸操作をします。
詳細は、「着陸操作は難しい!」を参照願います。